エッセイ

本のない人生なんてありえない

佇む女性

 本が好き。なかでも小説が大好き。小説がない人生なんて考えられないほど。小説があるから明日も生きたいと思えている。それはちょっと言い過ぎだろうか。でも、それくらい本が好きなのは事実である。

 そんな僕だけれど、実はもともと本が嫌いだった。読書習慣などほとんどなく、月に一冊読めばいいほうで読まない月もざらにあった。

 しかし、平手友梨奈主演の映画『響-HIBIKI-』に出会ったことをきっかけに、小説を読むようになった。人はきっかけさえあれば変われるのかもしれない。

 いろんな物語を読んでいくごとにどんどん本が大好きになり、生活にも大きな変化が──。

 読書に目覚めてからは小説をよく読んでいた。もともと映画やドラマなどの物語が好きだったから、自然と小説にも興味が湧いたのだ。今も小説を読むことが多いが、ビジネス・実用書や自己啓発など、さまざまなジャンルの本を読む。本全般が好き。

 僕にとって本は、なくてはならない存在だ。毎日読書を欠かすことはできない。本があるから、「今日という日を生きて、明日も生きていられたら」と思う。

 一度本気で死にたいと思ったことがある。この世から消えてラクになりたいと。そんな時にあの映画と出会った。鑑賞後、本への興味が最高潮に膨れ上がり、たくさんの本を読みたくなった。

 歯を磨いたり、お風呂に入ったり、食事をするように読書する。読書が生活の一部となって、本好きの幽霊にでも取り憑かれてしまったかのように本を読む日々を送っている。

 そんな僕は、どんなに忙しくても寝る前には必ず本を読むようにしている。読まないとなんだかモヤモヤしてしまう。歯磨きをしないと口の中が気持ち悪いような感覚。眠くても重いまぶたこじ開け、数ページでも読んでから寝る。

 読書嫌いだった頃は、ユーチューブが好きで毎日たくさんの動画を見ていた。好きすぎて夜ふかしすることもままあった。だけど今では好きが好きを超えてしまい、ユーチューブよりも読書を優先することのほうが多い。

 昨日までは無縁だと思っていた世界が、次の日にはどっぷり浸かってしまうのだから人生なにが起こるかわからない。明日になったら本がまた嫌いになってることだってありえる。きっと人生はこうやって日々、刻一刻と変化していくのだろう。そうしみじみと思う。

 日常の変化はそれだけではない。本に溢れた生活を過ごしていくうちに、見ている世界がどんどん広がっていった。たくさんの作品たちに出会うことで、自分自身も文章を書いてみたいと思うように。

 こうなってくると変化の恐ろしさを感じずにはいられない。僕は文章を書くことが大嫌いだった。学生時代に何かの感想を書くのも、社会人になってメールを打つのも、本当に嫌で嫌で仕方なかった。幼稚な文章だったり、無理にかしこまった文章を書いて意味不明な文章になったり、とにかく文章を書くのが苦手だった。

 それなのに自ら文章を書いてみたいと思うのだからおかしなものだ。

 今、こうして文章を書いている。なんとも感慨深い。日々いろんな本に触れてきたことで、さまざまは考え方や価値観、哲学に出会ってきた。それらが僕という人間の身体に染み渡っていき、自分の中にあるそれらが壊され、そして新たなものが形成される。

 ずっと書くことにコンプレックスを抱き、逃げてきた。でもこれからはたくさんの文章を書いていく。だって楽しいから。